セラミックコンデンサ バイアス特性 温度特性

◆概要
・セラミックコンデンサの容量は、
  ①印加電圧を変えると変化する(バイアス特性)
  ②温度を変化させると変化する(温度特性)
 という、2つの環境依存性がある。
・使用環境でコンデンサの容量が変わると困るので、
 ①、②はいずれも変化が小さい方が良い。

・でも
  ・①が良いセラミックコンデンサは、②が悪い。
    ➡このタイプのセラミックコンデンサの特性をZM特性と呼ぶ
  ・②が良いコンデンサは①が悪い。
    ➡このタイプのセラミックコンデンサの特性をB特性と呼ぶ
 ①②の両方が良いコンデンサは出来ない。

◆ZM特性・B特性
①セラミックコンデンサは、印加電圧を変えると容量変化する(バイアス特性)。
 ➡この変化が小さいタイプのタイプのセラミックコンデンサをZM特性と呼ぶ。
 逆にこのZM特性のコンデンサは温度変化した際の容量変化が大きい。
②セラミックコンデンサは、温度を変化させると変化する(温度特性)。
 ➡この変化が小さいタイプのタイプのセラミックコンデンサをB特性と呼ぶ。
  逆にこのB特性のコンデンサは印加電圧を変化させた際の容量変化が大きい。
一覧にすると以下の通り。

  印加電圧変化に対する容量変化 温度変化に対する容量変化
ZM特性
B特性


図示すると以下の通り。
           バイアス特性                   温度特性

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◆①②の両方が良いセラミックコンデンサが出来ない理由
・セラミックコンデンサを細かく分解すると、下の図のような結晶構造となる。


セラミックコンデンサの拡大図

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右側の図
・この結晶構造は、原子A,B,Cから構成されている。
  立方体の頂点に原子A, 6面の中心に原子B, 立方体中心に原子Cが位置する。
・原子Cは、上下方向に少しだけ移動することができ、コンデンサに電圧を
 印加すると、立方体中心から上(か下)に原子Cがずれてロックされる。
・原子A,B,Cはすべて帯電しているので、原子Cが上下に少しずれてロックされると、
 結晶格子の電荷のバランスが崩れ、結晶格子の上面と下面に逆の電荷が帯電する。
・このように電圧の印加で結晶格子内の電荷バランスが崩れた状態でロックされ、
 上面と下面に逆の電荷が帯電するのが、コンデンサの充電動作である。

中央の図
・セラミックコンデンサをもう少し大きい領域で見た場合、中央の図のようになる。
 セラミックコンデンサは通常、多結晶構造をとり、図のように少しいびつな無数の
 ブロックに分かれている。
・1つ1つのブロックを拡大すると、右側の図のような結晶構造となっている。
 コンデンサに電圧をかけると、この各ブロックの結晶構造の原子Cが上か下に
 一斉にずれ
、全体として、多量の電荷がコンデンサの上下に蓄積される。
  ※ここでも、コンデンサの上下は逆性の電荷が蓄積される。
・このように、コンデンサ内には、右上の図の結晶格子が、無数に詰まった
 構造となっており、その分たくさんの電荷を蓄積できる。

ZM特性とB特性のコンデンサの挙動の違い
B特性:
B特性は、結晶のブロックごとに性質がバラバラになるように
コンデンサの結晶に混ぜ物をする。