フィールドプレートとは

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■フィールドプレートとは
・フィールドプレートとは、ダイオードやトランジスタの耐圧を上げる
    技術(構造)の一つ。
・図の黒い色の部分(n+,p+上に乗せた導電性膜)がフィールドプレート。
・材質は、金属や導電性ポリシリコン。

 ※電圧が集中する部分(ウィークポイント)の電圧を緩和する効果がある。
  その結果、デバイスの耐圧が上がる。
 ※同様にデバイスの耐圧を上げる機能をもつ構造として、ガードリングがある。
  この二つを組み合わせて、ダイオードやトランジスタの耐圧を上げる。 

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⓪・デバイス上側の導線に+を印加するとn/p界面に強い電圧がかかる。

①・拡散で形成したn+エリアは図のように角が丸みを帯びているが、
  SiO2との界面(矢印部分)部分はシャープ。
 ・このシャープな部分に電圧が集中する。デバイスに強い電圧をかけたとき、
  ここを起点に壊れてしまうので、デバイスとして大きな耐圧を得られない。

②・でも、フィールドプレートがあると、SiO2上の②のあたりまで+の電圧がかかる。
 ・すると、SiO2を挟んだ対面のpシリコンにーが誘起される。
 ・すると、n+領域から右側にn領域がぼや~っとはみ出すように拡がる。
 ・すると、①に集中していた強い(高い)電界が、右側にある程度分散される。
  ⇒ウィークポイント(①の矢印部分)の電界が緩和される。
 ・結果として、デバイス全体の耐圧が上がる。

③・加えてもう一つ注意点がある。伸びたn領域右端の対面のSiO2表面には
  +が誘起される。
 ・SiO2表面(=デバイス表面)の帯電は、放電故障の要因になるなど、
  割と危険なのでどうにかしたい。
 ・対策として図の様にP+に設置させてフィールドプレートを形成する。
 ・すると、SiO2表面の+電荷は導電性のフィールドプレートを通じて、
  P+⇒Pのルートでアースされる。これで放電故障のリスクが減る。

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④・ただしSiO2が薄すぎると、(C=ε・S/d のd(距離)が小さくなるため) 誘起されるー
  の量が多くなり、思った以上に右にー領域(n領域)が拡がってしまう。

 ・これがp+につながってしまうと、今度は一気に耐圧が下がる。
  ※耐圧を高くするには、n/p濃度が低いことが重要。
   理由は、濃度が低いことで、n層の深い所の電子とp層の深い所の正孔が
   打ち消し合って、深い空乏層を作るから。
   それが、n領域が高濃度p+層につながると、浅い空乏層になってしまい、
   耐圧が落ちてしまう。
  ※あとSiO2が薄すぎると、フィールドプレート端の対面のp領域に誘起されるー
   の濃度が不安定になる。何事も不安定なのは良くない。
   これも耐圧向上の阻害要因となる。
 ・つまり、フィールドプレートはとりあえずつければOKということではなく、
  SiO2が薄い場合逆効果になる。SiO2は薄くしすぎてはいけない。

 

 

 

検索用

フィールドプレート構造

フィールドプレート効果

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半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術

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