半導体工程 ダイオード編

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半導体の本の後半の章には、半導体工程が載っていることが多い。
でも詳しすぎるので読むのが面倒。とりあえず、どんな流れでつくるのか
手っ取り早く思い出せるように、各工程の概要を完結にまとめた。
とりあえず、一番簡単なプレーナダイオードの工程についてまとめた。

_______________________________________■材料ウェハの選択
・プレーナダイオードでは、大体シリコンエピタキシャルウェハを使う。光沢がある。
・エピタキシャル層の比抵抗/厚み でダイオード耐圧が大体決まる。
 高耐圧ダイオードでは、高比抵抗/厚エピタキシャル層のウェハを使う。
・エピタキシャルウェハは以下の流れで作られる。
 インゴッドをスライス⇒表面研磨/洗浄⇒CVDでエピタキシャル成長

 

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■ウェハ洗浄(RCA洗浄)
・ウェハはまず洗浄する。理由は、この後に酸化工程があるため。
 酸化工程では、酸化炉にウェハを入れる。ここでウェハが汚れていると、
 以下の不具合が出る。洗浄でこれを防ぐ。
   ⇒ウェハに変なものが拡散され、デバイスのスペック/信頼性に影響を与える。
   ⇒酸化炉が汚染される。
     ※炉が一度汚染されると、一度炉体を外して洗浄しなければ
      いけなくなるので、生産がストップしてしまう。 
・洗浄は、ウェハ用の洗濯機を使う。ドラムを高速回転させながら、
 洗剤の代わりに薬品を流す。薬品は以下の通り。
 洗った後は純水が出る洗濯機でウェハを洗って乾燥。

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■酸化
ウェハに酸化膜(SiO2)膜をつける。
・目的
  ①イオン注入/拡散の遮蔽膜として使う:
   酸化膜をつける⇒決まったところに穴を空ける⇒イオン注入(+拡散)する。
   この手順で、酸化膜に穴が空いたところにだけPN接合を形成する。
  ②パッシベーション(後述)の下地としてつける:
   プレーナダイオードでは、耐圧向上/信頼性向上のため、
   パッシベーションと呼ばれる層を形成する。
   このパッシベーションの下地として酸化膜をつける目的もある。
   ダイレクトにパッシベーションをつけるよりも、
   シリコンとの相性が良いSiO2を挟んだ方が、信頼性上良いからである。
・酸化膜のつけ方
  ・ウェハを1200℃程度の炉に入れる⇒酸素を流す⇒取り出す。
    ※ドライ酸化/ウェット酸化/パイロジェニックなど、やり方の種類がある。
     ドライ酸化は、膜質が良いが形成が遅い。他の方法は逆。

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 ■リソグラフィ/エッチング
・リソグラフィ/エッチングで、ウェハにつけた酸化膜(SiO2)膜にパターンをつける。
 それぞれ手順は以下の通り。
□リソグラフィ

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□エッチング

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■イオン注入
・ウェハ全面にイオンを照射する。すると、酸化膜のない部分(Siが露出した部分)の表面に、
 イオンが埋め込まれる。
・N基板を使用する場合はボロンを埋め込む。これが次工程の拡散でP領域になる。
 P基板を使用する場合はフォスを埋め込む。これが次工程の拡散でN領域になる。

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□方法
・装置内を真空にする⇒ボロン原子を電離する⇒後ろから高電界をかけて高速射出
 ⇒ウェハにぶつける⇒シリコン表面に埋め込まれる。
  ※複数ウェハに満遍なく照射できるよう、ウェハ土台を高速回転させる。
  ※ほかにも同様の工程にフィルムデポなど安い方法がある。
   なぜイオン注入なんて高価なやり方をするのかというと、
   ウェハに入れるイオンの量を、電圧と注入時間で正確に
   コントロールできるからである。
   これで、耐圧の精密コントロールが出来る。

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4.拡散

4-1.P拡散
・ウェハを高温炉に入れて、3のイオン注入でシリコン表面に埋めたボロンを、
 シリコン深くまで押し込む(拡散させる)。
・押し込む深さによって耐圧をコントロールする。だから、わざわざ拡散方程式
 なんていう訳のわからない方程式なんか使って、精密にコントロールしようと
 頑張る。
・押し込む深さは、拡散方程式で計算した拡散時間に加え、拡散炉の温度/ガス雰囲気
   でコントロールする。

一旦ペンディング...................................................................................................

4-2.N拡散
5.フォトリソグラフィ・エッチング

6.重金属拡散
7.メタル

8.パッシベーション
9.検査

 

半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術

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